[IT'S NOT] WORLD'S END

明るく楽しく元気よく平和に遠距離5年目。プロ診断イエベ秋。たのしいことが好き。

わたしが経験した差別の話をします

do-sui.hatenablog.com

 

外国で長期間生活した人は一回は考えたことがあるんじゃないかなあと思うこの話。

わたしは明確に「ある」と答えます。

一人の日本人の小言です。愚痴です。アドバイスは一切求めていないので、「お~よしよし!そんなことがあったんだね~!」くらいの気持ちで読んでください。長いので飽きたら閉じてください。

 

わたしが住んでいたシエナは学生街で、対外国人イタリア語教育が専門である大学のほかにも世界各国からエラスムスで留学生が来ている総合大学があります。イタリアの街のなかではかなり外国人人口は高い街なんじゃないかと思います。食に閉鎖的なイタリアなのにも関わらずハンバーガー屋さんやケバブ屋さんもいっぱいあるし、中華料理屋さんも複数あります。メキシコ料理もあったかな。なので、街中で差別らしい差別は受けませんでした。まあ、せいぜい引用させていただいたブログに記載があるような、「チネーゼ(中国人)!ニーハオ!」とたまに中学生にドヤされるくらいでした。今時アジア人をみてとりあえず中国人って言っておきゃ面白いなんて、了見が狭い子供だなあと思って無視していました。

 

わたしはシエナの大学生(学校は問わない)が住む学生寮に住んでいました。いつごろだったかなあ。冬ごろからレオナルド・ダ・ヴィンチで中国人留学生が多数入寮し、少しだけ混乱のあったときのこと。生活にもだいぶ慣れてきて、時間によって変わる寮監さんのおじいちゃんやおばさんたちとも世間話で笑えるくらいになったころ。

 

ある日大学から帰る途中、突然コーディネーターさんから電話が入りました。だいぶ生活にも慣れたころだったので、もうその時期に電話をもらうことはほとんどなく、久しぶりに来た電話にびっくりしたことを覚えています。要件は「今日の午前中、寮監があなたの部屋に入室しました」ということでした。「聞いてた?」と聞かれたので「いいえ」と答えました。全く意味がわからなくて、なんか事件でもあったのかなって思って理由を聞いたところ、「先日中国人の留学生が、この寮と契約を結んでいない生徒を泊めたことでトラブっているみたいで、私もよく分からないんだけれど日本人の部屋にもチェックが行ったみたい」ということ。うん、たぶん誰も意味が分からないと思うんですよ。ね。

この寮にはもう一部屋日本人が住んでいる部屋がありました。そこにもチェックが入ったそうです。

寮について走ってフロントに行くと、コーディネーターさんと寮監さん――よく見たら見たことがないおじさんでした――が話し合っていました。状況がまったく掴めずただ「誰こいつ」と思いながら茫然と聞いていると、あまりにも不当な扱いだと、コーディネーターさんは怒ってくれていました。

コーディネーターさんに「事前に何か言われた?なんか前にも注意したって言ってるんだけど」と聞かれたので、正直に「まったく身に覚えがありません、この人と話したの初めてです」と答えたら、コーディネーターさんはその旨を伝えてくれました。

あんまりにもコーディネーターさんと寮監さんの勢いがよくて何も言えずにいると、寮監さんの口から「同じアジア人だから調べたんだ。オレは悪くない」という言葉がはっきりと聞こえました。

トラブルを起こした人と人種が同じなら、住んでいる人が不在の時に無断で、勝手に入室することが許されているんだっていうことでしょうか。わたしは部屋に帰国用のチケットも留学に関する書類も置いていました。というか、そんなもの持ち歩いている人の方が少ないでしょう。

やっぱりよくわかりませんでした。

わたしはそのあとはっきりと、自分の言葉で「わたしは他者を入れたことはないし泊めたこともない。その中国人の留学生とは友人でもなんでもないし、今回の件には関係ない」と言うと、「でもお前はgialla(黄色人種)だ」と言われました。たぶん、わたしは人生で初めて人種で自分を表現されました。わたしはそれに対して何も言えませんでした。今思えばでもでもだってじゃねーよ!出来の悪い部下か!

ほかの日本人の友達も到着して状況を説明すると、全員がやっぱり「何も聞いてないし、そんなことがあったの?」と驚いていました。

そのあとコーディネーターさんが話を取りまとめてくださって、寮監さんに引く様子もなくこちらに(おそらく)物的な被害がなかったこともあり、今回はお互い「何もなかった」ことで話を終えることになりました。

 

わたしはこれを差別だとはっきりと認識しています。

嫌な思い出なんかすぐに忘れちゃいたいけど、留学生数が日本一の大学で、留学生が当たり前にいる環境で、教授の国籍だってバラバラな環境で、そして留学生同士が互いに尊重しあえていた留学先で当たり前のように過ごしていたわたしにとって、その言葉はあまりにも理解の範疇を超えていました。ひとって、ショックを受けると、頭が考えることをやめるんです!びっくり!

わたしはこのとき在伊歴の長い日本人のコーディネーターさんがいてくださって、お忙しい中でわたしたちを助けてくださったけど、もしいなかったらどうなっていたんだろうなあとも思います。何もなかったかもしれないし、濡れ衣を着せられていたかもしれない。その結果退寮になる可能性だってあった。自分の意見を言うことくらいはできるけれども、逆上しているネイティブ相手にまともに議論ができるほど話せるわけじゃないですから。コーディネーターさんが強い人でよかったと心から思います。これくらいじゃないとこの国では生活できないのかもしれないけれどね。

 

それからしばらくの間、寮に帰るのが怖くて、フロントに見覚えのあるおじいちゃんとおばさんがいる時間を狙って帰るようにしました。二人は「このあいだ騒ぎがあったみたいだけど、あなたは大丈夫だった?」と優しく言ってくれて、みんながみんなああなんじゃないって何回も自分に言い聞かせていました。実際、多くの人はあんな軽率な発言は、頭に浮かんでもしないと思います。

数か月後ふと思い出して、この話を恋人とそのご家族にしたとき、みんなすごく怒ってくれました。

特に恋人はハーフだし、お母様も外国人としてイタリアで生活している身です。お母様はイタリア語も十分話せます。大学だって複数出ているとても優秀な方です。明るくて、すぐに人の懐に入れる、そういう方です。それでも、「スペイン人だから」という理由で、何度も電話口で就職を断られたことがあるそうです。もはや国境をまたいで自由に行き来できるスペイン人ですらそういう扱いを受けるのだから、いまだにアジア人に対する差別意識があるのもありえることなんだなあと感じました。

聞いた話では、一部のイタリア人のあいだでは中国人が自国民の職を奪っているという認識の人もいるらしく、特に中国人を嫌悪している人も少なくないらしいです。

 

それからわたしは人種や国籍での差別的な発言に対して敏感になりました。

わたしの身近にいる人の中にはそういう意識を持った人がたくさんいて、特に中国人や韓国人を嫌う発言をよく聞きます。本人に悪気はないんだろうけれど、わたしはそれを聞くのがすごく苦痛です。だって、彼らが言っていることは、わたしがかつて言われたことと同じ意味を持っているから。

 

今になってなんであんなにショックを受けたんだろうと考えてみました。

ただただ単純に、自分じゃどうにもできないところを理由にされると、何もできないんですよね。

わたしは小さい時からがんばればそれなりに認めてもらえていました。勉強も運動も人間関係も、全部ある程度の努力で円滑に、希望通り回すことができていました。

でも人種の話をされてしまうと、頑張ってもどうにもできないんですよ。わたしは日本人の両親を持つ日本生まれ日本育ちです。なんだろうなあ。がんばったところでどうにもできないことを理由に、問題を起こす可能性がある人間であると言われた気分だったんでしょう。ソンナンドーーーシヨーーーモネーーーージャーーーーーーン!!!!!!!!っていうことでしょうね。こんな理由でわたしは今から罰則を受ける可能性があるのか?というのもショックを受けた理由の一部かもしれない。今だったらソンナンドーシヨーモネージャン!!!オマエイマカラスグオウショクジンシュニナレルカ!?ナレネーダロ!?って反論できる気がしますが、まだ学生だったわたしには「こういうひともいるんだ」っていうことが信じられなかったんだと思います。まだまだ自分のなかの常識にこだわりすぎていたのかもしれませんね。

まあでも今でも少なからずこういう人もいるんだということを知ることができたのは良い経験だったと思います。自分の世界が世界じゃないからね。わたしは絶対にしないぞう。反面教師。

 

 

面と向かって言われる「お前は黄色人種だ」は、なかなか堪えますね。というお話でした。

 

 

 

おわり